ドーパミンは報酬を得た時よりも、〇〇する時の方がドバドバ出る!
ドーパミンは「幸福ホルモン」として知られ、私たちが何かしらの報酬を得た時に分泌されることで快感をもたらします。しかし、実際には報酬を得る瞬間よりも、その報酬を期待する瞬間の方がドーパミンが多く分泌されることがわかっています。本記事では、そのメカニズムと具体的な例を通して、ドーパミンの本質に迫ります。
「予測誤差」とドーパミンの関係
ドーパミンは、報酬予測誤差という概念に基づいて分泌されます。報酬予測誤差とは、予測された報酬と実際に得られた報酬の差のことです。この誤差が大きいほど、ドーパミンの分泌量も増加します。
簡単に言うと、実現の可能性が低いことを、運良く実現できた時に大量のドーパミンが分泌されやすいということです。
実験の裏付け
この現象は、様々な実験から確認されています。例えば、サルを対象にした実験(Schultz et al. 1997)では、予期しない報酬が与えられた時にドーパミンニューロンの活動が急増することが観察されました。人間を対象にしたfMRI実験(McClure et al. 2003)でも、予測される報酬と実際の報酬の差が大きい場合に、脳内のドーパミン系の活動が顕著に変化することが確認されています。
特に、スマホゲームのガチャは、このメカニズムを巧妙に利用しています。低確率で手に入るレアアイテムやキャラクターが含まれるガチャは、プレイヤーにとって予測誤差が大きい状況を作り出します。期待していなかったレアアイテムを手に入れた時、ドーパミンが大量に分泌され、強い快感を感じるのです。この快感がプレイヤーを引きつけ、ガチャを繰り返す動機付けとなります。
報酬予測誤差が大きい状況の具体例
以下に、報酬予測誤差が大きい状況の具体例を挙げます:
1. 予想外の昇進やボーナス:
• 例えば、仕事で昇進や大きなボーナスを全く予期していない状況で、それを突然得た場合。期待していなかった大きな報酬が得られるため、予測誤差が大きくなり、ドーパミンの分泌が増加します。
2. サプライズパーティー:
• 誕生日や特別な日のサプライズパーティー。特に何も期待していなかった時に友人や家族が集まってサプライズをしてくれると、予測外の楽しい出来事が起こり、ドーパミンが大量に分泌されます。
3. 宝くじの当選:
• 宝くじを買った人が当選を期待していなかった場合に大きな当選をした時。このような予期しない大きな報酬は、予測誤差が非常に大きくなり、ドーパミン分泌が高まります。
4. 難しい試験の高得点:
• 非常に難しい試験で、あまり自信がなかったにも関わらず、思いがけない高得点を取った場合。期待していた結果よりもはるかに良い結果が出ると、大きな予測誤差が生じます。
5. 不意の褒め言葉や賞賛:
• 普段あまり褒められない状況で、突然上司や尊敬する人から大きな賞賛を受けた時。期待していなかった肯定的なフィードバックが得られると、予測誤差が大きくなります。
6. スポーツやゲームでの逆転勝利:
• スポーツの試合やゲームで、負けると思っていた状況から逆転勝利を収めた時。期待していなかった勝利が実現すると、大きなドーパミン分泌が起こります。
依存症のリスク
このように、予測誤差が大きい状況でのドーパミン分泌は、強力な快感をもたらす一方で、依存症を引き起こすリスクもあります。ガチャやギャンブルはその典型例であり、予期しない大当たりやレアアイテムを手に入れることで、プレイヤーは再びその行動を繰り返すようになります。これが経済的な損失や時間の浪費につながることも少なくありません。
結論
ドーパミンは、報酬を得た瞬間よりも、その報酬を期待する瞬間に多く分泌されることが明らかになっています。予測誤差が大きい状況では、ドーパミンが大量に分泌され、私たちの行動を強化する強力な動機付けとなります。しかし、その一方で依存症のリスクも伴うため、慎重な自己管理が必要です。